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(2)ボランティア団体等の課題
ボランティア団体等の課題について,「地域づくりのための民間非営利活動に対する地方公共団体のかかわりの在方に関する研究会」中間報告では次のように記されている。
(「地域づくりのための民間非営利活動に対する地方公共団体のかかわりの在り方に関する研究会」中間報告(概要))
○組織的課題
民間非営利団体は、会員等の人材確保の面における苦労が多く、参加者の確保が大きな課題となっている。このため、様々な啓発活動や、住民に対する情報提供、さらには表彰制度など金銭的なもの以外のメリットに配慮することも必要である。
また、寄附を受けたり、活動の場の提供を受けるにも、社会的信用が極めて重要であるが、我が国においては、民間非営利団体に対する社会的認知が低いといった組織上の課題がある。このため、団体の活動状況の広報や、金融機関等への信用供与を行うなど民間非営利団体に対して社会的信用を付与し、社会的認知を高めていくことが重要となる。
○財政的課題
民間非営利団体は、原則的には収益をあげることが期待できないことから、財政基盤の脆弱(ぜいじゃく)性の克服が大きな課題であるが、寄附金、助成金、収益金についてそれぞれ次のような問題点がある。
?@ 寄附金:善意の寄附により、誰からも制約を受けずに自由に活動を行うことが理想であるが、日本人は諸外国の人々に比較して日常的な寄附に対する意識が相対的に薄く寄附が集まりにくいといった状況も見受けられる。
?A 助成金:財政基盤の脆弱性をカバーするために、地方公共団体や民間助成財団が様々な財政支援を行っている。このような助成金は、創設間もない団体については、その堅実な育成を図る上で重要な意義を持っているが、民間非営利団体の自主性確保の観点から、あくまでも行政による支援は民間非営利活動を活性化させるための環境整備の範囲内にとどめ、直接的な資金助成は最小限にすべきであるとする意見もある。
?B 収益金:民間非営利団体の中には、収益活動を営み、その資金を非営利活動の資金としている団体が存在している。今後、このような手法を積極的に活用していくことは民間非営利活動の活性化を図っていく上で重要なことの一つであるが、収益事業ばかりに重点を置くと本来の活動に支障を来すことにもなりかねないという問題も有している。
(3) ボランティア団体等に対する行政の関わりのあり方
総合研究開発機構の「市民公益活動基盤整備に関する調査研究」報告では、市民公益活動組織との関係における行:の課題について、次のように記されている。
(総合研究開発機構「市民公益活動基盤整備に関する調査研究」平成6年3月)
〇市民公益活動組織との関係における課題
〔地方自治体等の場合〕
(1)すでにあるボランティア、福祉、文化振興、環境保護、人材育成等の各種基金のあり方を見直し、市民参加を求めるなどによって活性化をはかり、民間の助成団体に準ずる自由度の高い助成を行う。
(2)既存の福祉、文化、女性、国際交流等の施設運営のあり方を市民的な立場から見直すとともに、新たにつくられる活動情報センターや活動支援組織について、補助や委託の形で積極的に協力する。
(3)市民公益活動団体への出向等、スタッフの交流などを通して職員の市民対応能力の向上をはかる。
(4)国と共同して、地方民法法人の設立許可基準の柔軟化をはかり、地方税の寄付税制の改革をはかる。また、地方分権化の促進とあわせて市民活動支援のバックアップをはかる。
〔国等の場合〕
(1)市民団体を考慮に入れた公益法人の枠組みと許可基準の見直しを行う。
(2)市民団体を考慮に入れた新しい非営利法人制度の創設をはかる。
(3)市民公益活動の促進に適した寄付税制の改革をはかる。
(4)特殊法人においては市民団体との積極的な接触をはかり、その運営・活動の市民化をはかる。

 

 

 

 

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